本文へスキップ
ブクドリ | BOOK DRIP
戻る

『リーン・スタートアップ』エリック・リース|6ヶ月かけて誰も欲しがらないモノを作った話

戦略・経営・事業
『リーン・スタートアップ』

完璧な製品を作ってからリリースしよう。

これ、スタートアップの最大の失敗パターンです。

エリック・リースさんの『リーン・スタートアップ』には、この失敗の本質が書かれています。

誰も欲しがらないモノを、完璧に作ってしまう。


6ヶ月が無駄になった

著者がCTOとして関わったIMVU社の話です。

2004年、3Dアバターを使ったIMサービスを開発しました。

6ヶ月かけて最初のバージョンをリリース。

結果は惨憺たるもの。ほとんどダウンロードすらされなかった。

なぜか。

仮説がことごとく間違っていたからです。

彼らの仮説:「ユーザーは既存のIMに接続するアドオンを欲しがるはずだ」

実際の顧客の声:「スタンドアローンのサービスが欲しい」

彼らの仮説:「ユーザーは友人を招待するのを面倒に感じるはずだ」

実際の顧客の声:「友人を招待するのは楽しい」

そして最大の発見。

ユーザーは「既存の友人と繋がる」ためじゃなく、「新しい人と友達になる」ためにアバター型IMを使いたいと思っていた。

6ヶ月の開発が全部無駄になりました。


「構築-計測-学習」のループ

この失敗から生まれたのが、リーン・スタートアップの核心です。

1. 構築(Build)

仮説を検証するためのMVP(実用最小限の製品)を作ります。

完璧な製品じゃない。学習に必要な最小限の機能だけ。

2. 計測(Measure)

実際の顧客の反応をデータで計測します。

3. 学習(Learn)

データから学び、次の一手を決める。

ピボット(方向転換)するか、辛抱して継続するか。

このループを素早く回す。

6ヶ月かけて失敗するより、1ヶ月で仮説を検証するほうがいい。

当たり前のことなんですけど、これができない。完璧主義が邪魔をする。


MVPの誤解

MVP = Minimum Viable Product(実用最小限の製品)

これ、よく誤解されます。

「完成度が低い製品」じゃないんです。

仮説を検証するために必要な最小限の機能を持つ製品。

ターゲットは一般顧客じゃありません。「アーリーアダプター」です。

新しい技術をいち早く試すことに価値を見出す顧客層。

彼らは完璧な製品を求めていない。新しい体験を求めている。

だから、彼らが求める以上の完成度を追求することは、時間と費用の無駄なんです。

「もう少し機能を追加してから」

その「もう少し」が積み重なって、6ヶ月が消える。


ピボットという概念

これがリーン・スタートアップの肝です。

ピボット = 戦略的方向転換

単なる「変更」じゃありません。

製品やビジネスモデルに関する戦略的仮説を新たに立て、それを検証できるように構造を変化させること。

仮説に誤りが見つかったら、根本から見直す。

でも、それまでに構築したものや学習したことが全て無駄になるわけじゃない。

ここがポイントです。

失敗じゃなくて、学習。

「これは違った」という発見も、価値がある。


読んでから変わったこと

「完璧にしてからリリース」という考えが消えました。

まず小さく出して、反応を見る。

仮説が間違ってたら、早めに方向転換する。

「失敗」を「学習」として捉えるようになりました。

6ヶ月かけて大失敗するより、1週間で小さく失敗するほうがいい。


こんな人に読んでほしい


スタートアップの最大の無駄は、誰も欲しがらないモノを作ること。

だからまずMVPで仮説を検証する。

失敗したら、ピボットする。

この本、起業家だけじゃなく、何か新しいことを始めようとしてる人全員に読んでほしいです。


この記事をシェア:

前の記事
『超一流の会話力』渡部建|「会話は、話してはいけない」という逆説
次の記事
『自分のアタマで考えよう――知識にだまされない思考の技術』ちきりん|「知っている」ほど、考えられなくなる