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『勝間式 金持ちになる読書法』勝間和代|お金とは「情報」である

学習・インプット ✍ 勝間和代
約10分で読めます

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『勝間式 金持ちになる読書法』
目次

お金持ちになる方法は、読書で学習できる。

そう言われると、ちょっと胡散くさく感じますよね。私も最初は身構えました。「お金」と「読書」を直結させる本は、たいてい根拠の薄い精神論か、自己啓発のポジショントークに終わるからです。

でも本書の論理を追っていくと、これが気合いや根性の話ではなく、一本の筋が通った主張だとわかってきます。

出発点はこの定義です。お金の流れとは、情報の一種である。だとすれば、情報を読み解ける人ほどお金に不自由しなくなる。そして、良質な情報を最も安く大量に得られる手段こそが読書だ――勝間和代さんは、この三段論法で本全体を組み立てていきます。

勝間さんは読書を「現代の錬金術」と呼び、さらに「合法的なカンニング」とまで言い切ります。お金に直結させた読書論として、本書はかなり振り切っている。だからこそ、その論理と具体策を出し惜しみせず拾っていく価値があると思いました。

図解

こんな人におすすめ

「お金=情報」という再定義が、すべての土台になる

本書を貫く前提は、お金の再定義です。

お金の流れというのは、情報の一種であり、お金にまつわる情報を読み解ける人は、お金に不自由することがなくなる。

お金は単なる交換手段ではなく「情報」だ。だから、社会の仕組みやお金の流れを理解できる情報強者になれば、搾取されずに済み、適切な判断で資産を築ける。逆に情報弱者は、うまい話のカモにされる――勝間さんはそう警告します。

ここで具体的に名指しされるのがカモ釣りスキーム商売です。「お金さえ出せば楽に稼げる」と謳って、安易に稼ぎたい人から搾取する、合法すれすれのビジネス。

本書はワンルームマンション投資、シェアハウス投資、資格商法などを典型例として挙げます。これらに共通するのは、相手が情報弱者であることを前提に設計されている点だ、と。

つまり情報強者になるとは、ただ知識を増やすことではなく、こうした「狩られる側」から「狩られない側」へ立ち位置を変えることでもある。

この再定義が効いているのは、お金の話を「才能」や「運」から切り離してくれる点です。才能や運は努力ではどうにもならない。けれど情報なら、後天的に手に入る。

読めば変えられる。「親ガチャ」という言葉が示すように生まれの格差が固定化しつつあるいまだからこそ、この発想は静かな希望に思えました。スタート地点は選べなくても、情報の取り込み方は選べる、というわけです。

本書はここから、お金持ちになるには情報強者になる必要がある(Why)→ 情報を得る最強のツールは読書、特に翻訳書だ(What)→ 忙しい現代人がどう多読を実現するか(How)→ 行動しなければ無駄(Action)という4段階で、極めてロジカルに論を進めます。

一冊が一本の証明問題のように構成されているのです。以下、この流れに沿って中身を見ていきます。

Why――読書とお金の相関は、データでも裏づけられている

なぜ読書がお金につながるのか。勝間さんはここを精神論で押し切らず、数字を持ち出します。

アメリカの調査では、富裕層の88%が1日30分以上ビジネス書などを読む一方、年収300万円以下で1日30分以上読む人はわずか2%。富裕層の86%が読書家で、63%は移動時間にオーディオブックを聴いている。

日本でも、30代で年収3000万円を実現した人の月間読書量は約10冊で、これは同年代の普通の社会人の38倍にあたる、と紹介されます。

もちろん、これは相関であって因果ではありません。「稼いでいるから本を買う余裕と時間がある」という逆向きの解釈も成り立つ。そこは冷静に留保しておくべきところです。

ただ、各国で繰り返し似た相関が報告されている事実は、少なくとも「読書する人とお金を持つ人が大きく重なる」ことは示しています。

そして勝間さんは、ここで重要な釘を刺します。

お金持ちになるという明確な目的のために本を選び、読書をして学ぶ、ということなしには、ただ本を読んでもお金持ちにはなれません。

同じカロリーでも、美食のための食事と筋肉をつけるための食事では、体の組成が変わってくる。読書も同じで、目的があるかないかで得られる栄養(情報)が変わる。

漫然と読むのではなく、目的意識を持って読むこと――この前提条件が抜けると、いくら冊数を重ねても成果には結びつかない、という設計になっています。

What――読書は「合法的なカンニング」、なかでも翻訳書を選べ

なぜ読書なのか。私がいちばん膝を打ったのは、勝間さんが読書を次のように言い切る比喩でした。

私は読書というのは合法的なカンニングだと思っています。

自分ひとりの経験や思考には、どうしても限界がある。でも本を読めば、他者が一生をかけて得た知識や解決策を、わずか千円ほどで盗み見られる

勝間さんはここで人間と動物を対比します。チンパンジーは自分か母親からしか学べないが、人間は赤の他人の経験すら情報として認識し、自分の知識に組み入れられる。

この「学習」こそが人間の特権なのだ、と。この整理は、読書を道徳や教養の問題ではなく、純粋なコストパフォーマンスの問題として捉え直させてくれます。

そのうえで勝間さんが特に勧めるのが翻訳書、なかでも専門家が一般向けに書いた「ポピュラーサイエンス」です。理由は2つ。

ひとつは、日本語の本だけに頼ると情報がガラパゴス化すること。世界全体のテクノロジーや知の蓄積に対し、日本語で書かれたものは人口比でたかだか50分の1程度にすぎない。

翻訳書を読めば、世界の最先端と多様な視点を効率よく取り込める。もうひとつは質のフィルターです。翻訳書は、まず海外で激しい競争を勝ち抜いてベストセラーになり、さらに日本の出版社が「翻訳して売る価値がある」と審査したものだけが出版される。

二重の関門を通っているぶん、ハズレが少ないというわけです。著者自身、人生を変えた本や資産形成に役立った本の8〜9割が翻訳書だったと明かしています。

では、ネット記事や要約サイトではダメなのか。この問いに対する勝間さんの答えは、なかなか辛辣です。ネットの無料記事は編集も校正も入っていない玉石混淆で、要約サイトは所詮「試食」に過ぎない。

本当に人生を変える数行は、本全体を読み通さないと見つからないし、無意識に蓄積されるほどの深さにもならない――と。要約を生業にしている私には耳の痛い指摘ですが、これは正直まっとうな批判だと思います。

要約はあくまで「この本を読むかどうか」の判断材料であって、要約だけで読んだ気になるのは確かに危うい。本記事も、本書を手に取る入り口として読んでもらえればと思います。

How――1日4万字を、耳読と速読で無理なく積む

本書がただの読書礼賛で終わらないのは、「読む時間がない」という最大の壁に、具体的なハックで正面から答えるからです。

中心になるのが耳読(みみどく)。AudibleやKindleの読み上げ機能を使い、本を「聴く」読書法です。Fire端末などの読み上げ機能をネックスピーカーやイヤホンにつないで倍速で再生し、家事や移動の最中に聴く。

目や手が塞がっているスキマ時間を、まるごと読書時間に変えてしまう発想です。

私が面白いと思ったのは、勝間さんがその時間の原資を「ニュースを断つこと」に求めている点でした。

普段あなたがTVニュースやネットニュースの配信を観ている時間を、全て読書にあててほしい

TVニュースは視聴率のために、ネガティブで扇情的な情報に偏りがちだ。見れば見るほど事実の理解を妨げ、精神衛生にも悪い。この時間を読書に置き換えるだけで、1日1〜2時間は捻出できる、と。

痛いところを突いてきますが、たしかにニュースを追うことの大半は「知った気になる消費」で終わっていて、自分の判断力を底上げしてはくれない。耳読への置き換えは理にかなっています。

読む量については、運動習慣になぞらえた印象的な目標が掲げられます。

よく言われる1日1万歩以上歩くという運動習慣の基本がありますが、それと全く同じ仕組みで、「1日4万字読書」をオススメします。

1日4万字は、新書なら2日で1冊、単行本なら3日で1冊のペース。これを「頭の運動」として習慣にする。情報強者を本気で目指すなら、年間300〜500冊、できれば1000冊が目安だと言います。

正直に言って、この量は読書習慣のない人にはかなり高すぎるハードルです。ここは差し引いて受け取ったほうがいい。

この多読を支えるのが速読で、コツはひとつに集約されます。

1行ずつ文章を読むような、部分的な読みを積み重ねて全体に至るのではなく、反対にまず全体をつかんで部分を理解するというような読み方を徹底すること

頭の中で1行ずつ音読するのをやめ、文章を「塊」として捉える。全体から部分へ読み解く、いわゆるフォトリーディングの発想です。本は最初から全部読む必要はなく、「つまみ読み」「飛ばし読み」でいい。

本とは宝探しの地図のようなもので、自分に必要な数行を掘り起こす作業なのだ、と勝間さんは言います。

そして読書が苦手な人へのアドバイスは、意外なほど温かい。読書は筋トレと同じで、最初から重いバーベル(難しい本)は持てない。まずは新書や面白い小説、漫画から始めて「読む楽しさ(フロー体験)」を味わう。

やがて思考のための語彙力がつき、専門書も読めるようになる。語彙とは、知識の塊にアクセスするためのショートカットキーだからです。多読を突きつけながらも、入り口は徹底してやわらかい。

この緩急が本書の良さだと感じました。

Action――結局いちばん刺さるのは「行動なき読書は無駄」

そして本書の核心は、ここに尽きます。

行動をしない読書は、無駄だ。

本で得た知識は、あくまで「仮説」に過ぎない。魔法の書を読んで呪文を覚えても、唱えなければ意味がないのと同じです。生活の中で実際に試し、検証して初めて価値が生まれる。この一行に出会ったとき、これは読書術の本ではなく実践の本だったのか、と見え方が変わりました。

勝間さん自身が、読んだそばから試す人です。たとえば4コマ漫画に出てきた「足のマウス(フットペダル)」をその場で検索して購入し、改行や音声入力を足で操作するようにしたら文字入力の生産性が跳ね上がった。

自転車通勤の本を読んで都内の移動を自転車に変え、運動不足を解消した。さらに19歳のときには「アルファ波でリラックスすると実力以上が出せる」と本で知り、機械を買って試験に臨んで公認会計士の二次試験に合格している。

読んで、すぐ試す。これを延々と繰り返してきた人なんです。エピソードの粒度がいちいち具体的で、ここまで徹底して初めて読書とお金がつながるのか、と納得させられます。

なぜすぐ結果が出なくても焦らなくていいのか。勝間さんは脳科学者の前野隆司さんが提唱した受動意識仮説を引きます。人間の意思決定の多くは無意識下で行われ、意識はそれを後付けで認識しているに過ぎない、という考え方です。だから、

読書は遅効性である

良質な情報を無意識に送り込み続けると、ある臨界点を超えたとき、自然と行動が良い方向へ最適化されていく。知識が投資の複利のように、無形資産として静かに積み上がっていくというこの締めくくりが、本書をただの実用書以上のものにしています。

即効性を求めず、淡々と良質な情報を入れ続けることそのものが、長期の戦略になるわけです。

明日から何を変えるか

本書の実践を、3つに絞ってみます。

1. TV・ネットニュースの時間を、耳読に置き換える。 スマホにKindleアプリを入れ、ネックスピーカーかイヤホンを用意する。通勤や家事の最中に、読み上げ機能を倍速で流す。よくある失敗は「まとまった読書時間を確保しよう」とすること。耳読はスキマに差し込むのがコツで、机に向かう必要はありません。

2. 「面白い翻訳書」から、1日4万字を目指す。 最初から難しい本を選ばない。純粋に面白いと思えるポピュラーサイエンスの翻訳書から始め、塊で捉える速読で少しずつ量を増やす。読書予算の目安は月収の5〜10%。いきなり買い込まなくても、図書館やKindle Unlimitedから始めて構いません。

3. 1冊につき、1つだけ「即行動」する。 読み終えたら、使えそうなアイデアを1つ選び、その日か翌日に必ず試す。効果があれば続け、合わなければ次の本へ。読書と実践を、つねにワンセットにする。これが「行動なき読書は無駄」への、いちばん小さな第一歩です。

おわりに

読み終えて腑に落ちたのは、本書が「読めば稼げる」とは一度も言っていないことでした。むしろ繰り返されるのは「行動なき読書は無駄」という釘刺しです。読書はあくまで仮説の供給源で、稼ぐのは実行のほう。この順番を取り違えないことが、本書のいちばんのメッセージだと思います。

正直に補足すれば、年間300〜500冊という量は読書習慣のない人には高すぎますし、翻訳書を勧める論理は明快でも、では具体的にどの分野のどの本がお金に直結するのかは、結局のところ読者自身のリテラシーに委ねられます。万能の処方箋ではありません。

それでも、お金を情報として捉え直す視点と、耳読でスキマ時間を読書に変える発想は、今日からでも試せます。生まれの格差が固定化しつつあるいまだからこそ、安価にアクセスできる読書で後天的に自分をアップデートできる、という本書のメッセージは、シンプルに希望だと私は思いました。


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『知識を操る超読書術』メンタリストDaiGo 読書を「インプット」から「武器」に変える科学的メソッド。本書の「行動なき読書は無駄」という主張を、知識を使いこなす技術の面から深掘りできます。

『読書を仕事につなげる技術』山口周 年間50冊読んでも何も変わらなかった人へ向けた一冊。多読そのものより「成果への接続」を問う視点が、本書の実践重視の読書観とよく響き合います。


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