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『頭のいい人』の共通点は『行ったり来たり』だった。

約3分で読めます 思考法・問題解決
目次

会議で「要するに何が言いたいの?」と言われる人がいる。

逆に、「わかりやすく説明できる」と評価される人がいる。

この差は何か。

細谷功氏の『具体と抽象』を読んで、その答えがわかった。


「具体」と「抽象」の往復運動

頭のいい人の共通点は、「具体と抽象を行ったり来たりする」こと。

たとえば、優れた「たとえ話」を考えてみる。

たとえ話がうまい人は、説明したいことを一度「抽象化」して本質を捉え、それを別の身近な事例に「具体化」して伝える。

「具体→抽象→具体」という往復運動だ。

この往復ができない人は、具体例を並べるだけになる。

「A社はこうで、B社はこうで、C社はこうで…」

聞いている方は、「で、何が言いたいの?」となる。


「一を聞いて十を知る」とは何か

「一を聞いて十を知る」という言葉がある。

これも抽象化の力だ。

一つの具体的な事例から、その背後にある法則やパターンを見出す。

そして、その法則を別の場面に応用する。

たとえば、「夕焼けが出れば翌日は晴れ」という経験則。

これは、具体的な観察から抽象的な法則を導き出した例だ。

この法則を知っている人は、翌日の予定を立てられる。

知らない人は、毎日空を見て「明日は晴れるかな?」と悩む。


議論が噛み合わない本当の理由

会議で議論が噛み合わないことがある。

その原因の多くは、話し手と聞き手の抽象度のズレにある。

ある人は「哲学」や「方針」といった抽象的なレベルで話している。

別の人は「具体的な手段」のレベルで話している。

両者は同じ言葉を使っていても、全く違う次元で話している。

だから永遠に議論が終わらない。

「顧客の声を聞くべきか、聞かないべきか」という議論が典型だ。

抽象レベルでは「顧客の心の内を理解しろ」という意味。

具体レベルでは「クレームに対応しろ」という意味。

同じ「顧客の声」という言葉なのに、意味が全然違う。


「マジックミラー」という構造

興味深いのは、抽象度の高い人と低い人の間にはマジックミラーがあることだ。

抽象度の高い世界を理解している人は、具体的な世界も見える。

でも、具体的な世界しか知らない人には、抽象的な世界が見えない。

だから、抽象的な話をする人は「何を言っているかわからない人」と思われる。

一方、抽象的な話ができる人から見ると、具体的な話しかできない人は「視野が狭い」と見える。

この非対称性が、コミュニケーションの断絶を生む。


「パクリ」と「アイデア」の違い

ここで面白い話がある。

「パクリ」と「斬新なアイデア」の違いは何か。

答えは、どの抽象レベルで真似るかだ。

具体的なレベル(見た目、機能)で真似ると「パクリ」。

抽象的なレベル(構造、関係性)で真似ると「斬新なアイデア」。

回転寿司は、ビール工場のベルトコンベアからヒントを得た。

見た目は全然違う。でも、「ものを運ぶ」という構造は同じ。

これがアナロジー(類推)の力だ。

遠い世界の構造を、抽象レベルで結びつけることで、新しいアイデアが生まれる。


今日からできること

議論が噛み合わないと感じたら、自分と相手の「抽象度」を確認してみる。

「今、私は方針の話をしていますか?それとも具体的な手段の話をしていますか?」

この一言で、ズレが見えてくる。

また、何かを説明するとき、「要するに」と一度抽象化してから、「たとえば」と具体例を出す。

この「行ったり来たり」を意識するだけで、伝わり方が変わる。

頭のいい人は、ただ知識が多いわけではない。

具体と抽象を、自在に行き来している。


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