作ってから売ろうとした時点で負け
目次
「これ、絶対イケる」
そう確信して、会社を辞めた。
半年後。
プロダクトが完成した。 ローンチした。
誰も来なかった。
「良いアイデアだったのに、なぜ…」
そう思ったこと、ありませんか。
起業の9割は失敗します。
優秀な人も、情熱のある人も、等しく失敗している。
「良いアイデア」を持っている人ほど、失敗するから。
「みんなが良いと思うアイデア」は、もう遅い
起業で失敗する第一の理由。 それは、競争相手がいる市場で戦うことです。
PayPal創業者のピーター・ティールは、こう言っています。
「競争は敗者のすることだ」
「良いアイデア」は、だいたい他の人も「良い」と思っています。
つまり、競争相手がいる。
競争相手がいるということは、
差別化が難しくなる。 価格競争に巻き込まれる。 利益率が下がる。 資金が尽きる。
最終的には消耗戦。
体力のある大企業が勝って、スタートアップは死ぬ。
Airbnbの話をさせてください。
「他人の家に泊まる」
2008年、このアイデアを聞いて、あなたは良いと思いますか?
投資家は全員断りました。
「危ない」 「気持ち悪い」 「誰がそんなことするんだ」
でも創業者たちは知っていました。
ホテルが高すぎて困っている人がいる。 地元の人と交流したい旅行者がいる。
99%の人が「ダメだ」と思ったアイデア。
だからこそ、競争相手がいなかった。
結果、Airbnbは世界191カ国、800万件以上の宿泊施設を持つ巨大企業になりました。
私も経験しました。
「このサービス、絶対に便利だ」
そう思って、友人にも話した。
みんな「それ、いいね」と言ってくれた。
しかし、ローンチしたら競合が3社もいた。
しかも、既に資金調達も済ませていた。
「みんなが良いと思うアイデア」は、他の人も既に気づいています。
99%の人が見向きもしないアイデアこそ、成功の種です。
「顧客が欲しいもの」を作ったのに売れない
起業で失敗する二つ目の理由。 それは、顧客が「困っていること」を解決していないことです。
「いや、ちゃんと調べたよ」 「ユーザーインタビューもしたし」 「みんな『いいね』って言ってくれたし」
ここに罠があります。
人は「いいね」と言います。
面と向かって「いらない」とは言いにくい。
でも、財布は開かない。
私の知り合いに、こんな人がいました。
半年かけて、すごく便利なアプリを作った。
デザインも綺麗。 機能も充実。
ベータ版を使った人は「すごい!」と言ってくれた。
リリースした。
ダウンロード数、1週間で47。
何が間違っていたか。
彼は「自分が欲しいもの」を作っていた。
「顧客が困っていること」を解決していなかった。
ジェフ・ベゾスはAmazonでこう言い続けています。
「顧客から逆算しろ」
技術がすごいかどうかは関係ない。 デザインが美しいかも関係ない。
顧客の「痛み」を解決しているかどうか。
それだけ。
正直に言います。
私も最初は「これは便利だから売れる」と思っていました。
自分が便利だと思った。 友人も便利だと言った。
しかし、リリースしたら誰も使わなかった。
顧客は、その「便利さ」に困っていなかった。
あなたのアイデア、誰の「痛み」を解決していますか?
その人は、お金を払ってでも解決したいと思っていますか?
「大きく始める」から、0.01%も取れない
起業で失敗する三つ目の理由。 それは、最初から大きな市場を狙うことです。
起業家志望の人と話すと、よくこう言われます。
「市場規模が大きいから、1%取れれば十分」
これ、死亡フラグです。
大きな市場には、大きなプレイヤーがいます。
資金力が違う。 人材が違う。 ブランド力が違う。
1%どころか、0.01%も取れずに消えていく。
成功した企業の共通点を知っていますか?
小さく始めている。
Facebookはハーバード大学だけで始まりました。
「全世界の人をつなぐ」じゃない。 「ハーバードの学生をつなぐ」。
PayPalは「eBayのパワーセラー」だけを狙いました。
「世界中の決済を変える」じゃない。 「eBayで大量に売る人の決済を便利にする」。
Amazonも最初は本だけでした。
「地球最大の店」じゃない。 「本をオンラインで買える店」。
小さな池で大きな魚になる。
そこで独占的な地位を築いてから、隣の池に移る。
最初から大海原に飛び込むと、溺れるだけです。
私も経験しました。
新サービスの企画。
「市場規模は5000億円、1%でも50億円」
そう資料に書いた。
しかし、リリースから3ヶ月、売上はゼロだった。
大きな市場は、既に大きなプレイヤーが押さえていた。
小さく始めて、独占してから拡大する。
「大きな市場の1%」ではなく「小さな市場の100%」を狙うことが、成功への道です。
今日、これだけはやってほしいこと
長々と書きました。 でも、やることは1つだけ。
あなたのアイデアを、まだ言わないで。
それだけ。
代わりに、想定顧客に会って、こう聞いてください。
「〇〇について、困っていることはありますか?」
あなたのアイデアは言わない。
相手の「困りごと」だけを聞く。
10人に聞いてください。
たぶん、想像と違う答えが返ってきます。
「え、そこで困ってるの?」という発見がある。
その発見が、あなたのアイデアを変える。
あるいは、「やめたほうがいい」と気づかせてくれる。
どちらにしても、半年かけて誰も使わないプロダクトを作るよりマシです。
よくある失敗: 自分のアイデアを説明して、「これ欲しいですか?」と聞いてしまうこと。人は面と向かって「いらない」とは言いません。まず顧客の困りごとを聞いて、本当の痛みを見つけてください。
関連する書籍
『ゼロ・トゥ・ワン』(ピーター・ティール) 競争は敗者のすること。小さな池で独占的な地位を築いてから拡大する。99%の人が見向きもしないアイデアこそ、成功の種。
『ベゾスレター』(スティーブ・アンダーソン) 顧客から逆算する。技術やデザインではなく、顧客の「痛み」を解決することだけが成功の鍵。
『起業の科学』(田所雅之) 課題検証からPMF達成までの科学的プロセス。完璧なプロダクトを作る前に、MVPで顧客の反応を検証する。
まとめ
起業の9割は失敗します。
しかし、失敗の理由は能力不足ではありません。
「みんなが良いと思うアイデア」で競争に巻き込まれる。
顧客の「困りごと」ではなく、自分の「便利さ」を追求する。
最初から大きな市場を狙って、0.01%も取れない。
ティールが説いたように、競争は敗者のすることです。
ベゾスが実践したように、顧客から逆算することが成功の鍵です。
田所氏が示したように、課題検証なくしてPMFはありません。
99%の人が見向きもしないアイデアを探す。
小さな市場で独占的な地位を築く。
顧客の「痛み」を解決する。
アイデアは、検証されるまで「仮説」でしかありません。
仮説を「確信」に変えてから、本気で投資してください。
最初の一歩は、10人に聞くこと。
それだけです。
合わせて読みたい
『起業の科学』田所雅之 課題検証からPMF達成までの科学的プロセス。「誰も欲しがらないもの」を作らないための実践的な手法を解説。
『ピーター・ティール』トーマス・ラッポルト 「競争は負け犬のすること」を体現した起業家の戦略。小さな市場で独占的地位を築く思考法を紹介。
『How To STARTUP』久野孝稔 起業家の頭の中を完全解剖。社会を変えるビジネスの育て方と、顧客の課題から始める重要性を学べます。