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『腸がすべて』フランク・ラポルト=アダムスキー|トマトパスタが、あなたを不調にしている

健康・メンタル
約6分で読めます
『腸がすべて』

トマトソースのパスタ。多くの人が好きな、ありふれた一皿です。ところが本書は、これを「最悪の食べ合わせ」だと言い切ります。

理由は、消化のスピード。トマトは30分で消化される「速い食品」、パスタは8〜10時間かかる「遅い食品」。この2つを同時に食べると、消化管で渋滞が起き、食べ物が腐敗して毒素を生みます。

著者は世界的な自然療法士フランク・ラポルト=アダムスキー氏。頭痛、不眠、肌荒れ、腰痛といった一見バラバラな不調の多くが、実は「腸の汚れ」から来ていると説きます。本書はその腸を洗うための、シンプルで論理的な食事法です。

こんな人におすすめ

この本の核心――何を食べるかより、「いつ・何と」食べるか

本書のメッセージは一行です。「体の機能不全のほとんどは、たったひとつ、腸の流れによって決まる」。

面白いのは、著者が「何を食べるべきか」という従来の栄養学を一度脇に置くところです。

「何が体をよくするかを決定しているのは、私たち自身ではありません。それを決める『最高の裁判官』は、『消化管』だけなのです。」

どんなに体に良い成分を摂っても、腸が詰まっていれば吸収されません。それどころか腸内で腐敗し、毒素になります。

だからまず腸を清潔に保つ。その前提が崩れていたら、スーパーフードも奇跡を起こせない、というわけです。

腸が単なる消化器でないことも本書は強調します。体の免疫システムの約80%が消化管に集まっている。だから腸を清潔に保つことは、あらゆる病気を防ぐ条件になります。

食品を「消化スピード」で3つに分ける

本書のすべての土台が、この3分類です。栄養素やカロリーではなく、消化管を下りてくる速さで食品を分けます。

ファスト(消化の速い食品) 口から入って30分〜2時間で消化される食品。ほぼすべての果物、トマト、はちみつ、緑茶、ヨーグルトなどが入ります。

スロー(消化の遅い食品) 消化に8〜10時間かかる食品。穀物(パスタ、パン、米)、肉、魚、卵、チーズ、ナッツ、そしてトマトや玉ねぎを除くほとんどの野菜。私たちが食べる栄養の大部分はここに属します。

ニュートラル(どちらでもない食品) ファストともスローとも組み合わせてよい食品。油、酢、にんにく、玉ねぎ、ナス、ワイン、コーヒー、ビターチョコレートなどです。

意外なのはトマトです。普通の野菜に見えて、消化はわずか30分のファスト。だからパスタやピザ生地(スロー)と合わせると、腸の流れを極端に乱します。

なぜ「ファスト+スロー」が腸を詰まらせるのか

3分類を覚える理由は、たったひとつのルールのためです。ファストとスローを、同じ食事で一緒に食べない。

この2つを混ぜると何が起きるか。本来30分で抜けるはずのファスト食品が、スロー食品に行く手を塞がれます。消化管を抜けるのに18〜24時間かかることもあります。

停滞した食べ物は腸内で腐敗・発酵を繰り返し、通常の10倍もの毒素を生み出します。

腐った食べ物は漆喰のように腸壁にこびりつき、流れを詰まらせ、栄養の吸収を妨げます。これが本書の言う「腸の汚れ」です。

具体的なNG例を挙げると、生々しくわかります。イタリアンの定番トマトソースのパスタやピッツァ・マルゲリータ。魚や肉(スロー)にレモン汁(ファスト)。そして食後のフルーツ。

どれも、消化スピードの違うものを同時に入れる組み合わせです。

著者がこの結論にたどり着いた背景には、独自の歩みがあります。16歳で背中の病気(シュイエルマン病)によりプロアスリートの道を断たれました。

運動療法やオステオパシーを学ぶなかで、不調の多くが腸の流れに帰着すると気づきます。腸内洗浄療法の権威バーナード・ジェンセン氏のレントゲン研究も、その土台になりました。

腸には「すき間」が必要

組み合わせと並ぶもう一つの柱が、食事の「間隔」です。

「常に満杯のまま食べ物を処理しつづければ、消化管はあちこちで流れが詰まり、自分で自分を浄化できずに、どんどん疲れていきます。」

腸が自分を掃除するには、空っぽになって休む時間がいります。それが「すき間」です。間食をやめ、食事と食事の間隔を空ける。これだけで腸は自浄作用を取り戻します。

目安はこうです。スロー(普通の食事)の後は、最低4〜5時間。ファスト(軽食)の後は、最低1時間半。

果物の食べ方も、ここから導かれます。果物はファストなので、食後のデザートにすると前のスローの食事を塞ぎ、腐敗の原因になります。

正解は、スローの食事から時間を空けて、1日1回だけ単独で食べること。昼食から4〜5時間後で、夕食の1時間半以上前にあたる夕方の軽食が理想です。

既存のダイエットや健康法の落とし穴

本書は、流行の健康法にも一石を投じます。

カロリー制限ダイエットには科学的根拠がない、と著者は言います。ヘルマン・トーラー博士の研究では、カロリー制限をした肥満症の患者100人のうち、最終的にやせられたのはたった2人でした。体が少ないエネルギーで生きる術を覚えてしまうため、やめると以前より太るからです。

「大切なのは、体重を減らすことではなく、毒素の体積を小さくすることなのです。」

水を1日2リットル飲むべき、という通説も退けます。問題は飲む量ではなく、飲んだ水を体が活用できる状態にあるかどうか。

腸が詰まり腎臓がうまく働かないまま大量に飲んでも、むくみを招くだけです。飲むなら蒸発残留物の少ない軟水を、と著者は勧めます。

炭水化物抜きダイエットも勧めません。炭水化物はタンパク質やビタミンと同じく欠かせない栄養素であり、極端に断つのではなく、ファストと混ぜない工夫をして適量を楽しめばいい、という立場です。

腸を整える日々の超基本

理論の最後に、本書は具体的な習慣をまとめます。

ひとつは、非加熱の良質なオイル。エキストラバージンオリーブオイルなどは、腸にこびりついた汚れを溶かして流す「パイプ洗浄剤」の役割を果たします。どうしてもNGな組み合わせを食べたいときは、先にオイルを一口飲んでダメージを和らげる手もあります。

もうひとつは、マインドフルな食事です。スマホやパソコンを手放し、リラックスして噛む。ストレスは腸の動きを縮こませるため、食事の時間を「体の充電時間」と捉えることが消化を助けます。

腸を物理的に動かす視点もユニークです。ウォーキングやヨガで横隔膜を動かすと、腸の働きが促されます。さらに著者は、病気への恐怖を手放し、健康な自分をイメージするプラス思考まで重視します。

「『第2の脳』、つまり消化管は、私たちが尊重し、掃除を行い、手助けをすると、それに応えて『日々の健康』という贈り物をしてくれます。」

明日から何を変えるか

本書の知識を、今日の行動に落とします。

1. トマトソースのパスタを、別の組み合わせに変える パスタなら、にんにくとオイル(どちらもニュートラル)のシンプルなものへ。魚や肉にレモンをかけるのもやめる。ファストとスローを混ぜない、これが最初の一歩です。

2. 果物は夕方に、単独で食べる 食後のデザートをやめ、昼食から4〜5時間空いた夕方の軽食として果物を1回だけ食べる。食事の組み合わせではなく、独立した1食として扱います。

3. 間食をやめ、食事の間を最低4時間空ける スローの食事の後は4〜5時間、何も食べない。この空腹の時間が、腸に自浄の「すき間」を与えます。お腹が空いたら、まず水を一杯。

おわりに

本書を読むと、食事中に一瞬立ち止まるようになります。これはファストか、スローか。今この組み合わせは、腸を詰まらせていないか。

完璧を目指す本ではありません。著者は「たまには誘惑に屈してもOK」とし、その時はオイルでリカバリーすればいいと言います。大事なのは、腸の声を聞く習慣を持つことです。

「『腸の声』を聞けば、すべてがうまくいく!」

明日の昼、もしトマトパスタを頼みそうになったら、思い出してください。あなたの腸は、その組み合わせに何時間付き合わされるのか。それを想像することから、腸活は始まります。


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