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ブクドリ | BOOK DRIP

「変われない」人と変われた人は、決意の立て方が違っていた

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目次

「どうせ続かないから、抱負なんて立てても意味がない」。そう思っている人に見てほしい数字があります。

年明けに決意した人と、しなかった人を半年追った調査です。半年後もずっと続けていた人は、決意した人では46%、しなかった人では4%でした。

決意は無駄ではありませんでした。ただ、決意した人の半分以上は途中で離れています。

研究を並べると、決めた人の中で残った人と離れた人の違いが見えてきます。決意の強さより、何を決めたか、どれだけ期待したか、つまずきをどう採点したかです。

決めた人は、決めなかった人より変わっていた

冒頭の数字は、米スクラントン大学の心理学者ジョン・ノークロス氏らが2002年に発表した研究のものです。年明けに抱負を立てた159人と、同じような問題を抱えながら「変えるのはもう少し先」と考えていた123人を、電話インタビューで6か月追いました。

目標で多かったのは、減量、運動、禁煙です。2つのグループのあいだで、年齢などの属性、問題の経緯、目標の中身に差はありませんでした。

ただし、この2グループはくじ引きで分けたものではありません。決意しなかった人は「変えるのは後で」と考えていた人たちなので、期間中まだ始めていない人も含まれるはずです。成功かどうかも本人の申告です。46%と4%の差を、そのまま決意の効果とは読めません。

それでも、「決意なんて意味がない」と言い切れる数字ではありません。

同じ研究では、年が明ける前に測った3つの項目が、その後の成功を予測していました。自分ならできるという見込み(自己効力感)、変えるためのスキル、変える準備がどこまでできているか、です。

年が明けてからの過ごし方にも差がありました。続いた人は行動に直接はたらきかける方法を多く使い、問題への気づきを深めたり感情を揺さぶったりする方法は、あまり使っていなかったといいます。

ノークロス氏は1980年代にも、抱負を立てた200人を2年間追っています。1週間後に続いていたのは77%、2年後は19%でした。

決意は、立てた瞬間に負けているわけではありません。時間をかけて少しずつ離れていきます。

「やめる」より「始める」で決めた人が残った

では、離れずに残ったのはどんな決意だったのか。

スウェーデンのストックホルム大学のマーティン・オスカーソン氏らは、2016年の年末にSNSやテレビで参加者を募り、1,066人の抱負を1年間追いました。結果は2020年に発表されています。

抱負で多かったのは、体の健康(33%)、減量(20%)、食習慣(13%)です。研究チームは一人ひとりの抱負を、2つの型に分けました。

接近型:何かを始める、増やす、近づく 回避型:何かをやめる、減らす、避ける

参加者の64.5%は、接近型で抱負を書いていました。

1年後、回答した人の55%が「おおむね続けている」と答えています。自分の達成度を0〜100%で採点してもらい、70%以上を成功と数えた結果です。

型ごとに見ると、成功の割合は接近型で58.9%、回避型で47.1%でした。この差は統計的にも偶然とは言いにくいものです。

たとえば同じ食生活の改善でも、「お菓子をやめる」は回避型、「おやつはナッツにする」は接近型になります。

違いが生まれる仕組みについて、私はこう考えています。回避型の決意は、守れている間は「何もしなかった」ことしか手元に残りません。そして一度食べれば、その日は失敗と判定されます。接近型なら、ナッツを食べた日が一日ずつ実績として積み上がっていきます。

ただし、どちらの型で書くかは参加者が自分で選んでいます。くじで割り当てたわけではないので、型そのものの効果だとは言い切れません。成功も自己評価で、参加者は自分から応募した人たちです。

期待を盛った決意ほど、つまずきを「失敗」と採点しやすい

オスカーソン氏らの研究には、もう一つ意外な結果があります。

参加者は、くじで3つのグループに分けられていました。1つめは年3回の報告だけ。2つめは、応援役を1人指名し、毎月報告し、つまずいたときの対処法をメールで受け取りました。3つめはそれに加えて、目標を具体的に、期限つきで、接近型で書くよう指導され、中間目標も立て、追加のメールを3通受け取っています。

1年を通じた成功の割合は、2つめのグループが62.3%で最も高く、1つめが55.9%でした。いちばん手厚い3つめは52.5%で、1つめと差がありませんでした。

著者らの考察はこうです。具体的な目標は、何をすればいいかをはっきりさせます。同時に、できていないこともはっきりさせる。中間目標を6つ置けば、破れる締め切りが6つできます。「健康に気をつける」なら少しの前進でも成功と採点できるのに、「週2回運動する」は1回休むと失敗になってしまう。

これは推測で、成功を自己評価で測った研究の限界でもあります。ただ、変わろうとする人が、どんな物差しで自分を採点しているのかを考えさせる結果です。

トロント大学のジャネット・ポリヴィ氏とピーター・ハーマン氏は2002年の論文で、「偽りの希望症候群」という考え方を示しました。人は自分を変えようとするとき、変わる速さ、変わる量、変わりやすさ、変わったあとに得られるものの4つを、非現実的に見積もりがちです。その結果、失敗しては、また挑むことを繰り返す、という説明です。

この考え方を試した2009年の実験もあります。運動を増やす、あるいは瞑想でストレスを減らすと決めてもらうと、運動を決めた人は決めた直後に期待が膨らみました。そしてどちらのグループも、結果は期待に届きませんでした。

一方で、「期待が高い人ほど結果が悪くなる」という予測は支持されていません。期待の高さが失敗を直接招くとまでは言えないわけです。はっきり言えるのは、決意した直後の期待が、実際の結果より高くなりやすいことです。

そして、つまずき自体は珍しくありません。ノークロス氏の1980年代の研究では、2年間続けられた人の53%が、途中で少なくとも一度はつまずいていました。

続いた人の半分以上がつまずいていたのなら、つまずいたかどうかでは両者を分けられません。私は、つまずきを期待との差で採点して「失敗した」と判定するかどうかが、離れていく人との違いになっていると考えています。

オリバー・バークマン氏は『不完全主義』で、やることリストは理想と比べて足りないところを突きつけると書いています。代わりに勧めるのが、やったことを書き出す「Doneリスト」です。比べる相手は、何もしなかった状態になります。

決意の中身を、3か所だけ書き換える

誤解:悪い習慣は「やめる」と決めるのがいちばん確実 → やめたいことの代わりに、何をするかを書きます。「寝る前にスマホを見ない」なら「寝る前の20分は紙の本を読む」。守れた日が実績として残る形にします。

誤解:目標は細かく、期限も中間目標もきっちり決めるほどよい → 細かい目標を立てたなら、採点表も別に作ります。週に一度、その週にできたことだけを書き出してください。理想との差ではなく、ゼロとの差を見る記録です。

誤解:つまずいたら、同じ目標で一から出直せばいい → 出直す前に、期待を1つ下げます。偽りの希望症候群が挙げる4つのうち、速さか量のどちらかです。「3か月で5キロ」なら「半年で5キロ」にする。同じ見積もりのまま再挑戦すると、同じところで同じ採点をすることになります。

オウェイン・サービス氏とローリー・ギャラガー氏の『行動科学が教える 目標達成のルール』は、新年の抱負のように目標を並べず、1つに絞るよう勧めています。書き換える決意も、1つで十分です。

5分でできることも1つあります。書き換えた決意を1行にして、応援してくれそうな人に送ってください。オスカーソン氏らの研究で最も成功した2つめのグループは、応援役を1人指名していました。毎月の報告やメールと組み合わさった結果なので、応援役だけの効果とは言えません。それでも、一人で抱えるより始めやすくなるはずです。

おわりに

「変われない」と感じるとき、疑いたくなるのは自分の意志です。研究を読むと、見直す場所はもう少し手前にありました。何を決めたか、どれだけ期待したか、どの物差しで採点しているか。

今持っている決意を1行で書き出して、「やめる」が入っていたら「始める」に書き換えるところから始めてみてください。


この記事で参考にした本

『不完全主義』オリバー・バークマン氏 → 理想と比べるやることリストより、ゼロと比べるDoneリストを使うという、採点の物差しの変え方

『行動科学が教える 目標達成のルール』オウェイン・サービス氏、ローリー・ギャラガー氏 → 新年の抱負のように目標を並べず、1つに絞って小さなステップに分けるという目標の立て方


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