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ブクドリ | BOOK DRIP

言われた通りにやった。完璧に仕上げた。『視点が低い』と言われた。

約3分で読めます 思考法・問題解決
目次

「この市場の成長率を調べてくれ」

上司に言われて、すぐに取りかかった。

データを集めた。グラフを作った。過去10年のトレンドも整理した。完璧な資料だと思った。

提出した。

「うん、よく調べてるね。でも……視点が低いんだよね」

え?

言われた通りにやったのに。


「言われた通り」が罠になる

多くの人は、指示されたことを正確にこなそうとする。

それ自体は悪いことじゃない。むしろ、真面目な証拠だ。

でも、トップ5%の戦略コンサルタントは違うやり方をする。

最初の課題設定自体を疑う。

「市場の成長率を調べてくれ」と言われたとき、彼らはまず考える。

「なぜ上司はこれを知りたいんだろう?」

「この情報で何を判断しようとしているんだろう?」

「そもそも、市場成長率を見ることが、本当に正しいアプローチなのか?」


「問いを問う」という発想

標準的なアプローチは、与えられた問いを細分化して解いていく。

市場成長率を調べろ → 過去データを集める → トレンドを分析する → グラフにまとめる

これで100点の回答が出せる。

でも、トップ5%は違う。

問いそのものを問い直す。

「市場成長率を調べろ」という課題を受け取ったとき、一度立ち止まる。

「果たして、これは真の問いか?」

すると、見えてくるものがある。

上司が本当に知りたいのは、市場成長率じゃないかもしれない。

「この市場に参入すべきか」を判断したいのかもしれない。

「競合がなぜこの市場から撤退したのか」を理解したいのかもしれない。

問いの「一段上」にある本当の目的が見えると、やるべきことが変わる。


「視点が低い」の正体

「視点が低い」と言われるのは、こういうことだ。

課題を「そのまま」解いてしまっている。

与えられた枠の中で、与えられた問いに答えている。

それ自体は正しい。でも、そこには「創造性」がない。

トップ5%は、課題を「リフレーミング」する。

「市場成長率」という問いを、「参入判断のための情報」という上位の問いに置き換える。

すると、市場成長率だけでなく、競合状況、収益性の構造、参入障壁なども見えてくる。

「一つ上のレイヤー」から見ることで、本質的な答えにたどり着く。


「なぜこの課題なのか」を考える

じゃあ、どうすればいいのか。

一つ、簡単な方法がある。

課題を受け取ったら、「なぜ」を3回聞く。

「市場成長率を調べてくれ」

→ なぜこの情報が必要なのか? → この情報で何を判断しようとしているのか? → 他にどんな情報があれば、より良い判断ができるのか?

この3つを考えるだけで、視点は確実に上がる。


今日からできること

次に仕事を振られたとき、一度だけ立ち止まる。

「果たして、これは真の問いか?」

この一言を、心の中で唱えてみる。

最初は違和感があるかもしれない。言われた通りやる方が楽だから。

でも、この問いを持てるようになると、見える世界が変わる。

上司の意図がわかるようになる。

自分から提案できるようになる。

「視点が高いね」と言われるようになる。


よくある失敗

与えられた課題を「そのまま」解くこと。

言われた通りに完璧にやっても、課題設定が間違っていれば価値はゼロだ。

「なぜこの課題なのか」を考えないまま走り出すと、的外れな答えにたどり着く。


言われた通りにやる人と、言われた「本質」を捉える人。

その差は、最初の一瞬で決まっている。


参考書籍

  • 安宅和人『イシューからはじめよ』 「何を解くか」を決めることの重要性。問いの質が仕事の質を決める。

  • 則武譲二『論点を研ぐ』 前提を疑い、本質的な問いを立てる技術。「問いを問う」具体的な方法がわかる。


合わせて読みたい

『なぜあの人と議論が噛み合わないのか──「抽象度」のズレが生み出す永遠の平行線』 「視点が低い」と言われる原因の一つは抽象度のズレ。上司と部下の思考レイヤーの違いを理解すると、問いの立て方が変わります。

『則武譲二「論点を研ぐ」──前提を疑う力で問題の核心を掴む3つの質問』 「問いを問う」技術を深く掘り下げた一冊。与えられた課題をリフレーミングする具体的な方法を解説しています。

『細谷功「具体と抽象」から学ぶ、世界の見え方を変える思考の往復運動術』 視点を上げるとは、抽象度を上げること。具体と抽象を自在に行き来する思考法を身につけると、仕事の質が変わります。