調べてるだけで、動いてない
目次
「もう少しデータを集めてから」
そう言って、何日経っただろうか。
私もそうだった。提案資料を作るとき、「もっと根拠を固めないと」と思って調べ続けた。競合の事例を探した。市場データを漁った。参考になりそうな論文も読んだ。
気づいたら、2週間経っていた。
資料?1枚も書いてない。
「準備が足りない」は、言い訳だった
あのとき私は、「準備が足りない」と本気で思っていた。
でも違った。準備が足りないんじゃなくて、失敗したくなかったんだ。
「データが不十分なまま提案して、突っ込まれたらどうしよう」 「もっと調べれば、完璧な答えが見つかるかもしれない」
そう思って、調べ続けることを「仕事」だと自分に言い聞かせていた。
実測値に勝るデータはない
三木雄信さんは『孫社長にたたきこまれた すごい「数値化」仕事術』で、こう書いている。
「完璧な計画を待つより、まず小さく実行してみろ。実行して得られた『実測値』こそ、最も貴重なデータだ」
これ、読んだとき正直ムカついた。
「いや、だから準備してるんでしょ」って。
でもね、冷静に考えてみた。
私が2週間かけて集めたデータ。それって全部、誰かが過去に出した数字だ。他社の事例も、市場調査も、全部「過去の他人のデータ」。
一方で、「自分でやってみて、どうなったか」というデータは、2週間経ってもゼロだった。
孫正義がやっていたこと
ソフトバンクの孫正義さんは、こう考えるらしい。
「早く失敗したほうがいい」
Yahoo! BBを立ち上げたとき、彼らは考えられる販売方法を全部、同時に試した。
街頭でのキャンペーン、Web申込、電話営業、家電量販店との提携。
「どれが効果的かわからないから、まず全部やってみる」
そして実際に得られた数字を分析して、効率の悪いものから撤退した。
最初から「どれが正解か」を調べて絞り込もうとしたら、どうなっていただろう。たぶん、競合に先を越されていた。
7割の確信で、動く
「でも、データなしで動くのは怖い」
わかる。私もそう思った。
だから、こう考えるようにした。
7割の確信が持てたら、動く。
10割を目指すから、いつまでも動けない。
そもそも、10割の確信なんて永遠に来ない。市場は変わるし、競合も動く。「完璧なデータ」を待っている間に、状況そのものが変わってしまう。
だったら、7割の段階で小さく試して、残りの3割はやりながら埋めるほうがいい。
「分ける」だけで、動ける
話それるけど、動けない理由ってもう一つあると思う。
タスクがデカすぎる。
「提案資料を作る」って、漠然としすぎてる。
これを因数分解する。
- 目的を整理する(30分)
- 仮説を立てる(30分)
- 必要なデータを3つだけ集める(1時間)
- 1ページ目だけ書く(30分)
こうやって分けると、「30分だけやってみるか」という気持ちになる。
大きな荷物は持てない。でも、小さく分ければ持てる。
調べることは、行動じゃない
ここで正直に言う。
調べることは、行動じゃない。
少なくとも、「成果につながる行動」ではない。
調べた時間は、何も生み出していない。提案も、フィードバックも、学びも、ゼロ。
「調べる」は準備であって、本番じゃない。
私はそれを「仕事をしている」と勘違いしていた。
「とりあえず出す」の効果
最近、私がやっていること。
資料は、6割の完成度で一度見せる。
「まだ途中なんですけど、方向性だけ確認させてください」
こう言って出す。
すると、「ここはもっと詳しく」「ここは不要」というフィードバックが返ってくる。
これが、めちゃくちゃ効率がいい。
自分が「足りない」と思って調べていた部分が、実は不要だったりする。逆に、「これで十分」と思っていた部分が、全然足りなかったりする。
自分の頭で考えていても、正解はわからない。相手に出して初めて、正解がわかる。
今日、やってほしいこと
この記事を読んで、「なるほど」で終わらないでほしい。
今日、1つだけやってほしいことがある。
「調べてから」と言って後回しにしていることを、今日、6割の状態で出す。
メールでも、資料でも、企画でもいい。
「まだ完璧じゃないんですけど」って前置きして、出す。
相手の反応を見る。
それが、2週間調べるより、ずっと価値のあるデータになる。
よくある失敗
「調べる」を「仕事している」と勘違いすること。
机の上で調べて得られるのは、二次情報だ。誰かが加工した、過去のデータ。
実行して得られる一次情報には、絶対に勝てない。
「もう少しデータを集めてから」
その言葉、あと何回言うだろうか。
調べることは、行動じゃない。
出すことが、行動だ。
参考書籍
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三木雄信『孫社長にたたきこまれた すごい「数値化」仕事術』 「実測値こそ最強のデータ」の原典。Yahoo! BBの事例など、具体例が豊富。
-
エリック・リース『リーン・スタートアップ』 「早く失敗する」ことの価値を体系化。実行しながらデータを集める方法がわかる。
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