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ブクドリ | BOOK DRIP

わからないことがあった。聞きたかった。──でも、聞けなかった。

約3分で読めます コミュニケーション・文章術
目次

「これ、来週までにお願いね」

上司に言われて、「はい」と答えた。

でも、正直よくわからなかった。

「来週」って、月曜の朝?金曜の終業?

「お願い」って、どこまでやればいい?

聞きたかった。でも、聞けなかった。

「そんなことも聞くの?」と思われるのが怖かったから。

結果、どうなったか。

締め切り直前に「これじゃない」と言われた。やり直し。徹夜。

最初に聞いていれば、5分で終わった話だった。


「わかったつもり」が、すべてを狂わせる

衝撃を受けた言葉がある。

「ほとんどの人が『わからないところ』をスルーして、『わかったつもり』になっている」

これは、質問力の専門家が指摘していることだ。

そして、「わかったつもり」は信頼を損なうと。

考えてみれば、当然のことだ。

「わかりました」と言って、違うものを出す人。

「わかりました」と言って、締め切りを守れない人。

どちらも、「わかっていなかった」のが原因だ。

でも、本人は「わかっていた」と思っている。

これが「わかったつもり」の怖さだ。

問題は、本人が気づいていないこと。だから何度も繰り返す。


なぜ聞けないのか

ここで、なぜ質問できないのかを考えてみる。

多くの場合、理由はシンプルだ。

「こんなことも聞くの?」と思われるのが怖い。

でも、これは想像だ。

実際に聞いてみて、「こんなことも知らないの?」と言われた経験、あるだろうか。

ほとんどの場合、ないはずだ。

むしろ、「いい質問だね」と言われることの方が多い。

なぜか。

質問する人は、「ちゃんと考えている人」に見えるからだ。

何も言わずに「はい」と答える人より、「これは〇〇という意味ですか?」と聞く人の方が、真剣に向き合っているように見える。

実は、聞かない方がリスクが高い。


「質問する人」が信頼される理由

面白い話がある。

ある自動車ディーラーが、他の営業マンを圧倒的に上回る成績を出していた。

何が違ったのか。

普通の営業マンは、「どんな車をお探しですか?」と聞く。

でも、そのディーラーは違った。

「よくお出かけになるんですか?」

この一言で、顧客は自分のプライベートを話し始めた。週末はどこに行くか、誰と乗るか。

そこから、本当に欲しい車が見えてきた。

これが「信頼を生む質問」だ。

「自分のことをわかっていない」という前提で、相手の背景を謙虚に知ろうとする。

そうすると、相手は「この人は自分のことを理解しようとしてくれている」と感じる。

だから信頼する。だから本音を話す。

逆に、質問しない人は、相手を理解しようとしていないように見える。

だから信頼されない。


「聞けない」を「聞ける」に変える方法

では、どうすれば質問できるようになるのか。

1つ、簡単な方法がある。

言葉の定義を確認する。

「来週までにお願い」と言われたら、「来週」の定義を確認する。

「この施策を進めて」と言われたら、「進める」の定義を確認する。

これは、「わからないことを聞く」のとは少し違う。

言葉の意味を確認しているだけ。

でも、この一言があるだけで、認識のズレが激減する。

「来週って、金曜の終業でいいですか?」

「進めるって、企画書まで作ればいいですか?」

これだけで、あとで「違う」と言われるリスクが消える。


今日やること:1つだけ

この記事を閉じる前に、1つだけ決めてください。

次に何かを頼まれたとき、「定義を1つ確認する」と決める。

「いつまでですか?」でもいい。

「どこまでやればいいですか?」でもいい。

「〇〇という理解で合ってますか?」でもいい。

1つだけ。

それだけで、「わかったつもり」が「本当にわかった」に変わる。

そして、その1つの質問が、あなたの評価を変える。

「聞けなかった」から「聞ける人」になれた。

それだけで、仕事の質も、周りからの信頼も、確実に変わる。

聞くことは、恥ずかしいことじゃない。

聞かないことの方が、よほどリスクが高い。


よくある失敗

「聞くと馬鹿だと思われる」と思って聞かないこと。

実際は逆だ。聞かずに進めて「違う」と言われる方がよほど評価を下げる。聞く人は「ちゃんと考えている人」として信頼される。


参考書籍

  • 坂本聰さん『たったひと言の質問力』 「わかったつもり」を卒業する質問の技術を解説。言葉の定義を確認することの重要性がわかる。

  • ケイト・マーフィー氏『LISTEN』 質問と傾聴の関係、相手を理解しようとする姿勢の本質を解説している。


合わせて読みたい

『坂本聰「たったひと言の質問力」』 「わかったつもり」を卒業して本物の信頼を手に入れる、質問力の技術を解説している。

『なぜ私たちは「聞いているつもり」で聞けていないのか?「LISTEN」が教えてくれる、人生を変える傾聴の技術』 質問と傾聴の関係、相手を理解しようとする姿勢の大切さを解説している。

『何回説明しても、伝わらない。もっと丁寧に話した。なのに、また誤解された。』 認識のズレが生む誤解と、それを防ぐコミュニケーション術を解説している。