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『自己肯定感を上げる OUTPUT読書術』アバタロー|本を読んでも自信がつかない人へ

学習・インプット ✍ アバタロー
約7分で読めます

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『自己肯定感を上げる OUTPUT読書術』
目次

「本をたくさん読んでいるのに、なぜか自信がつかない」。そんな引っかかりを抱えた人に、書評YouTuberのアバタローさんははっきりと答えます。読むだけでは足りない、と。

本書の主張は一貫しています。本を読むこと(INPUT)だけでは自己肯定感は上がらず、鍵は読んだ内容を自分の言葉で外に出すOUTPUTにある。速読術でも多読術でもなく、むしろその二つを手放させる読書論です。

この本がユニークなのは、読書を「自己投資」や「スキルアップ」の手段としてではなく、落ち込んだ自分を立て直すメンタルケアとして捉え直している点にあります。

著者自身、いじめやパワハラで自己肯定感がどん底まで落ちた過去を、約20年の読書で正常域まで引き戻したといいます。本書はその実体験から書かれている。

だから語り口はどこまでも優しく、本が苦手な人・自分に自信を持てない人ほど届く一冊になっています。

図解

この本の核心――読書は「食事」、OUTPUTは「トレーニング」

本書の土台にあるのは、拍子抜けするほどシンプルな比喩です。本を読むこと(INPUT)は「食事」にあたる。良質な食材(良書)を体に取り込む行為ですが、食べただけでは体は変わりません。

変化を生むのはトレーニング、すなわちOUTPUTのほうだ、と。どれほど上等なプロテインを飲んでも、筋トレをしなければ筋肉はつかない――著者はこの一点を繰り返します。

ではOUTPUTとは何か。読んだ情報を、自分というフィルターを通して話したり書いたりすることです。なぜそれが要るのか。理由は脳の仕組みにあります。

脳は在庫管理に厳しいマネージャーのようなもので、使わない情報は「重要度が低い」と判断し、数分のうちに捨ててしまう。自分の言葉で外に出して初めて、脳はその情報を「後で使う大事なものだ」と認識し、長期記憶へ移します。

この一手間の有無が、読んだ内容が身につくかどうかを分ける。だからアバタローさんはこう言い切ります――「人間はOUTPUTをすることで、初めて自分の人生に変化を起こせる」。

ここで本書は、そもそも読書に何ができるのかを三つに整理します。ひとつはパフォーマンスの向上。専門家が何年もかけて得た知見を、1冊1,500円ほどで受け取れる。

ふたつめはリスクの最小化。先人の失敗や挫折から、困難に立ち向かう知恵と、転んでも立ち上がる力を学べる。みっつめは人生を味わい尽くす力で、教養は映画も音楽も旅も、あらゆる経験の解像度を上げてくれます。

効能は研究でも裏づけられており、米イェール大学の調査では週に3時間半以上読む人ほど死亡率が低く寿命も長い、という結果が出ました。英国の公的医療機関NHSが薬の代わりに本を処方する「読書療法(ビブリオセラピー)」を導入している例も引かれます。

相関と因果は慎重に切り分けて読むべきですが、読書が心の処方箋になりうるという視点は、本書全体の入り口として効いています。

なぜ「読むだけ」では自信がつかないのか

本書最大の問いは、なぜ読書が自己肯定感を上げるのか、です。前提として著者は、日本人の自己肯定感の低さを内閣府の調査で示します。「自分自身に満足している」と答えた若者は、アメリカやフランスで8割を超えるのに対し、日本は5割に届かない。土壌からして、自信が育ちにくいというわけです。

手がかりになるのは、心理学者バンデューラの「自己効力感」、つまり「自分ならできる」という感覚です。これを育てるのは、大きな成功ではなく小さな成功体験の積み重ねだと彼は説きました。ここで著者は読書を大胆に読み替えます。読書とは、1ページ進んだ・1冊読み終えたという小さな達成を積み上げる行為にほかならない、と。だからこそ本書は、徹底的にハードルを下げにかかります。1ページずつでいい、全部読まなくていい、全部覚えなくていい――そう何度も許可を与えてくれます。

この姿勢の裏には、多くの人を縛る読書の三つの思い込みを外す狙いがあります。全部読むべき、ではなく自分に必要な分だけでいい。たくさん読むべき、ではなく何を読むかが大事。

速く読むべき、ではなく吸収して人生が少しでも好転すればいい。目的が先にあって、方法は後からついてくる。速く多く読むこと自体が目的化した瞬間に、読書は他人と量を比べる競争になり、かえって自信を削る作業に変わってしまう。

この転倒を止めることが、本書の出発点になっています。

OUTPUT読書術の実践――「整理→理解→編集→出力」を読書に落とす

では具体的にどう動くのか。本書はOUTPUTの骨格を「整理→理解→編集→出力」の四つと捉え、これを読書の流れに沿って「準備→読解→要約→発信」の4ステップへ落とし込みます。

準備は、視界のデザインです。まずスマホを視界から追い出す。現代人の集中は長く続かず、スマホは使っていなくても近くにあるだけで脳のリソースを食う、と著者は指摘します(集中力8秒という数字の出所は割り引いて聞くとしても、体感としては頷けるでしょう)。

本とペンと付箋だけの机をつくる、という実務的な助言です。

読解は、いきなり本文へ飛び込みません。表紙・帯・目次から「この本は誰に何を伝えたいのか」という仮説を先に立てる。そのうえで著者の問い・主張・根拠に「本当に?」「なぜ?」とツッコミながら読む。

本書はこれを「ツッコミモード」と呼びます。漫才のツッコミのように違和感を口にしながら読むと、権威ある本でも盲信せず、著者と対話するような読み方になる。

受け身の読書を能動に変える、地味ですがよく効く工夫です。

要約は、この本のいちばん独創的なところです。重要箇所に付箋を貼りまくるのではなく、最終的に「自分にとって一番大切な3枚」だけに絞り込む。数を削るこの制約こそが、著者の主張を丸呑みせず「何が自分に必要か」を自分の意志で選ぶ訓練になります。

本書はこれを「自己決定感」と呼び、幸福度に直結する感覚だと位置づけます。付箋3枚という具体は、実は枚数そのものより「選ぶことを強いる」点に価値がある。

選んだ3枚をもとに、A4用紙1枚へ「①主張 ②根拠 ③まとめ」の型で書き出します。

発信は、その要約を友人や家族に話す「壁打ちトーク」か、いいねの数を気にせず自分のためにSNS・ブログへ書くことです。もしうまく言葉が出てこないなら、それは前段の整理か理解が足りないサイン。

無理にひねり出さず、著者の主張を理解し直すところへ戻ればいい――この引き返し方まで示してくれるのが親切です。

本選び・難読・継続――挫折しない仕組みをつくる

何を読むかについて、著者は二つの軸を挙げます。目的から選ぶ「投資家的選書」と、知的好奇心にまかせる「直感的選書」です。前者の手順はこうです。

まず悩みを紙に書き出してグルーピングし、最優先のテーマを一つに決める。次に「予算5,000円」のように上限を決め、その範囲で本を組み合わせて買う。

ここで効くのが「リスク分散型購入」で、第一人者の代表作・やさしい入門書・ベストセラー・古典・最新作と、視点と難易度の違う本を混ぜてハズレを引く危険を下げます。

投資のポートフォリオと同じ発想です。あわせて本書は、本に含まれる情報を「ノウハウ・事実・思想」の三大栄養素として捉え、とりわけ客観的な事実と主観的な思想・解釈を切り分けて読むよう促します。

この一線を引けるかどうかで、鵜呑みによる判断ミスがぐっと減る。なかでも古典は人生のケーススタディの宝庫で、「古典にハズレなし」だと著者は言い切ります。

難しい本で挫折しても、それは読解力のせいではない――本書はそう慰めたうえで、難しさを三つに切り分けます。テーマ自体が難しいなら、図解入りの入門書やマンガ版を先に通ってから戻る。

背景知識が足りないなら、その本が書かれた時代背景を別途調べる。文章そのものが難しいなら、著者の主張と、著者が批判している反対意見を色を変えてマーキングし、主張の輪郭を浮かび上がらせる。

難しさを自分の能力の問題にしないこと自体が、自己肯定感を守る読み方になっているわけです。

そして継続です。読書もOUTPUTも続かなければ意味がありませんが、本書は意志の力を当てにしません。人の意志は思うより脆い、という前提に立ち、あくまで仕組みで解きます。

就寝前や通勤など時間を固定し、枕元やバッグに本を置いて反射的に手が伸びる状態をつくる。1日1時間あまりあるというスキマ時間を、ルーティンへ変える。

おもしろいのは「意図的に途絶えさせる」という逆説的な助言です。毎日やろうと気負わず、あらかじめ「読まない曜日」を決めておく。目標も1冊まるごとではなく、章ごとに一口サイズへ刻む。

完璧を捨て、自分が傷つきにくいペースを守ることこそ、結局いちばん長続きする道だという見立てには説得力があります。

併せて読みたい

『学びを結果に変えるアウトプット大全』樺沢紫苑 OUTPUTの王道を一冊に凝縮した定番。本書で「読書×発信」の入口をつかんだら、話す・書く・行動するへとアウトプットの幅を広げられます。

『知識を操る超読書術』メンタリストDaiGo 本書の「仮説を立てて読む」「ツッコミ読み」を、心理学の裏づけとともに深掘りした実践書。知識を武器に変える戦略的な読書が学べます。

『insight(インサイト)』ターシャ・ユーリック 自己肯定感の土台にある「自己理解」を科学した一冊。読書で自分を知ると説く本書に対し、こちらは自己認識そのものの高め方を教えてくれます。

まとめ

『自己肯定感を上げる OUTPUT読書術』を他の読書術と分けるのは、その温かさです。速く読め、たくさん読め、全部覚えろ――そうしたプレッシャーを、本書は一つずつ手放させてくれます。

比べるべきは他人の読書量ではなく、昨日の自分だけでいい。本書はこう語りかけます――「今どれほど不安で、自信がなくて、孤独で、泣きたい状態であったとしても、本だけはいつもあなたの味方です」。

やることは驚くほど小さい。読んで、3枚選んで、誰かに話す。この短いサイクルを回すうちに、知識が血肉に変わり、自分への信頼が少しずつ戻ってきます。本が苦手でも、自信がなくても大丈夫。今夜、枕元の1冊を1ページめくるところから始められます。


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