「考えているつもり」が、一番危ない
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会議で難しい問題が出た。
「ちょっと考えさせてください」と言った。
1週間経った。まだ考えている。2週間経った。まだ考えている。
上司に「どうなった?」と聞かれて、答えに詰まる。
「まだ考えてます」
これ、本当に「考えて」いるのか。
一生懸命考えているつもりで、立ち止まっている
マッキンゼー出身の赤羽雄二さんが、厳しいことを言っている。
「多くの人は、一生懸命考えているつもりで、実際は立ち止まっている」
ぐさっときた。
私もそうだった。「考えてる」と言いながら、頭の中で同じことがぐるぐる回ってるだけ。前に進んでない。何も決まってない。何も生まれてない。
これを「空回り」と呼ぶ。
空回りしてる人の特徴がある。
時間をかけている。でも、紙に何も書いてない。
頭の中だけで考えている。だから、同じところをぐるぐる回る。堂々巡りになる。結局、何も決まらない。
「考えている」と「悩んでいる」は違う。
悩んでいる時間は、考えている時間にカウントされない。ただの消耗だ。
「時間をかければ深まる」は嘘
もう一つ、認めたくない事実がある。
時間をかけても、考えは深まらない。
赤羽さんは言い切っている。「優秀な経営者は即断即決だ」と。
なぜか。普段から考えているからだ。
常に問題について考え続けている人は、新しい情報が入ってきた瞬間に、瞬時に判断できる。逆に、普段考えていない人は、いざというときに「ちょっと考えさせてください」と言う。
そして1週間経っても2週間経っても、答えが出ない。
時間をかければかけるほど、考えが深まると思っていた。違った。
時間をかけるほど、考えがぼやける。情報が増えすぎる。選択肢が増えすぎる。決められなくなる。
「考えているつもり」の正体
じゃあ、「考えているつもり」の状態って、何をしているのか。
正体はこれだ。
「考える」ことを避けている。
どういうことか。
本当に考えるのは、しんどい。答えが出なかったらどうしよう。間違ってたらどうしよう。そう思うと、手が止まる。
だから、「もう少し情報を集めよう」「もう少し調べよう」と言って、決断を先延ばしにする。
これは「考えている」んじゃない。「考えることを避けている」んだ。
戦略コンサルタントの則武譲二さんが、別の角度から同じことを言っている。
「問いが間違っていたら、いくら考えても答えは出ない」
そもそも、自分が考えているその「問い」が正しいのかを疑っていない。与えられた問題をそのまま受け取って、そのまま考えている。
だから進まない。
「考えているつもり」の人は、問いを疑わない。前提を疑わない。だから、永遠に堂々巡りする。
「書かなければ、考えたことにならない」
じゃあ、どうすればいいのか。
赤羽さんは、シンプルな解決策を出している。
A4の紙に書け。1分以内に。
1件1ページ。4〜6行。1分以内。これを毎日10ページ書く。
最初聞いたとき、「そんな単純なことで?」と思った。
でも、やってみてわかった。
書けない。
1分で書けない。頭の中では「考えている」つもりだったのに、紙に書こうとすると言葉が出てこない。
これが、「考えているつもり」の証拠だった。
本当に考えている人は、書ける。言葉にできる。1分で4〜6行、書き出せる。
書けない人は、考えていない。頭の中でモヤモヤしているだけだ。
だから、書く。考える前に書く。書きながら考える。
書くことで、思考が外に出る。外に出ると、客観的に見える。客観的に見えると、次のアイデアが浮かぶ。
これが「考える」ということだ。
「問い」を疑え
もう一つ、大事なことがある。
則武さんは、問題解決で一番大事なのは「前提を問い直す」ことだと言っている。
「本当にそうか?」と問いかけろ。
「この問題を解決すべきだ」という前提は正しいのか。そもそも、この問題を解く必要があるのか。もっと上位の目的があるんじゃないか。
ある消費財メーカーの事例がある。
「最適な価格を決定する」という論点でプロジェクトが始まった。みんな一生懸命、価格弾力性の分析をしていた。
でも、「本当にそうか?」と問い直した。
調べてみると、ラグジュアリーブランドでは価格弾力性がほとんど効かなかった。「最適価格は一つ」という前提自体が間違っていた。
最適価格は変動する。それを継続的に調整する仕組みが必要だった。
論点が完全に変わった。
「最適価格を決める」じゃなくて「価格調整の仕組みをどう作るか」になった。
最初の問いが間違っていたら、いくら考えても正しい答えにたどり着けない。だから、まず問いを疑う。前提を疑う。
今日からできること
全部を変える必要はない。
1つだけやってくれ。
今、頭の中でモヤモヤしていることを、A4の紙に書き出せ。1分以内に。
書けなかったら、それは「考えている」んじゃない。「悩んでいる」だけだ。
書けたら、もう一度見てみろ。「本当にそれが問題なのか?」と自分に問いかけてみろ。
考えているつもりで、立ち止まっている時間は、もう終わりにしよう。
この記事で参考にした本
『ゼロ秒思考』赤羽雄二 → 「A4メモ書き」で思考を言語化し、頭の回転を高速化する方法
『論点を研ぐ』則武譲二 → 前提を問い直し、「本当に解くべき問い」を見つける技術
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