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『共感SNS 丸く尖る発信で仕事を創る』ゆうこす|フォロワー2万人でも、来たのは3人だった

マーケティング・営業 ✍ ゆうこす
約8分で読めます

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『共感SNS 丸く尖る発信で仕事を創る』
目次

Twitterのフォロワーが、たった1日で2万人まで跳ね上がった。なのに、いざイベントを開いてみたら、会場に現れたのは3人だけ。

これは著者ゆうこすさん(菅本裕子さん)が、HKT48を脱退した直後に実際に味わった出来事です。数字の上では十分なはずだった。それでも、人はまったく動かなかった。

『共感SNS』は、この「数はあるのに誰も動かない」という痛い失敗から書き起こされた本です。そこから彼女は総フォロワー150万人、年商2億円規模の事業をつくるまでになりました。

本書は、その登り方を運や才能の話で終わらせず、今日から手元で再現できる手順にまで落とし込んでいます。フォロワー数だけを追ってきた人ほど、最初の3人の話で胸を突かれるはずです。

図解

フォロワー数とファンの数は、まったくの別物だ

本書がもっとも強く言い切るのが、この一点です。フォロワーの数と、ファンの数は別物である。

両者を分けるのは「熱量」です。情報をただ受け取るだけの人と、自分から動いて広めてくれる人。後者だけがファンであり、その熱こそが仕事や事業を前に進める燃料になります。

だから著者は、フォロワーを増やすだけの「インスタントなノウハウ」をいくらコピーしても意味がないと突き放します。数を盛っても、その先にある夢には届かない、と。

熱量のある想いが10人に届いて引用リツイートされれば、500〜1000人へ波及する。逆に、想いのない2万人は3人しか動かさない。同じ「2万」でも、中身が空なら3にしかならないわけです。

ここは現代のSNS論の核心だと、編集部としても受け止めています。表示される数字は誰にでも見えるのに、その裏にある熱量は計測できない。だからこそ多くの人が、測れる数字のほうばかり追いかけて道を見失う。本書はその落とし穴を、自身の失敗譚として最初に置くことで読者に刻み込んでいます。

自分を「漫画の主人公」として設計する

第1章は、発信する前の「自分づくり」がテーマです。

出発点は軸の設定。お金にならなくてもやりたい、寝食を忘れて没頭できるテーマを選ぶこと。中途半端な動機では熱が伝わらず、何より続かないからです。

ここで厄介な敵として登場するのが「自分バイアス」。自分のことは自分が一番わかっている、という思い込みです。これがあると本当のアピールポイントを取りこぼす。

著者いわく、自分のことは想像している100倍ほど相手に伝わっていない。

外し方が「何でタイム」です。自分の夢に対して、家族や友人と「何で? どうして?」を繰り返しぶつけ合い、願望の下に隠れた理由と想いを言葉にしていく。夢を語る人は多いけれど、人の心が動くのは、その奥にある理由まで知ったときだ、という指摘は鋭い。

設計の枠組みが「漫画の主人公」です。どんな主人公か(応援したくなる想いと肩書き)、どんなストーリーか(ゴールへの挑戦の過程)、誰に見てほしいか(ターゲット)。この3点を作り込む。著者の「モテクリエイター」という肩書きは、ありふれた職業名に自分の強みを掛け合わせた好例です。

そしてもう一本の軸が「丸く尖る」。誰も傷つけず挑発もしないのに、それでいて埋もれない。炎上で耳目を集めるやり方の、ちょうど真逆です。この発信に切り替えてから大手クライアントの仕事が来るようになった、という証言には説得力があります。

象徴的なのが「ダサい界のトップになる」という裏テーマ。ファッションリーダーを目指すのではなく、芸能人と一般層の中間に立ち、「憧れ」ではなく「真似しやすさ」を売った。

手の届く価格の服にモテ要素を足したコーデを出すと、全身マネキン買いする人が続出したそうです。尖り方を一段ずらすだけで、競争の土俵そのものを変えてしまう発想です。

フォローは「共感+メリット」がそろった瞬間に押される

第2章は、知名度ゼロからどう増やすか。式は拍子抜けするほどシンプルです。共感+メリット=フォロー。

想いに共感してもらうだけでは足りない。「フォローすると得をする」というメリットがセットになって初めて、見知らぬ人は指を動かします。その入り口がプロフィールで、著者は「プロフィールを制する者がSNSを制す」とまで言い切ります。

考え方は本の表紙づくりと同じ。アカウント名はタイトル、1行目はキャッチコピーや帯。1行目に発信テーマとフォローのメリットを端的に置き、アイコンは顔がはっきりわかる写真にする。

媒体ごとの勘所も具体的です。Instagramでは「インスタ映え」より「タグ映え」。拡散機能がない分、人はハッシュタグ検索でたどり着くからで、利用者の4人に1人がタグで情報を探すという調査も引かれます。

だから正式名称の「#YvesSaintLaurent」だけでなく検索されやすい「#イヴサンローラン」も添え、ボリュームが多すぎないニッチなタグで上位を取りにいく。

無関係なタグを大量に付けると、かえって上位に出にくくなる。YouTubeなら「サムネイルが命」。ただし派手なデザインを丸ごと真似るのではなく、自分の世界観に合わせて差別化する。

どの媒体でも、軸がぶれないことが効いてくるという一貫性が見て取れます。

フォロワーを5階層に分け、SNSを使い分ける

第3章は、集めたフォロワーをファンへ育てる段階。鍵は、相手を一括りにしないことです。

著者はフォロワーを新規層からライトファン、コアファン、マニア層へと5つに分けます。階層ごとに熱量が違うので、使うSNSも変える。拡散性の高いTwitterやYouTubeで新規・ライト層に届け、Instagramでターゲットを狙い撃ち、ブログやライブ配信といった閉じた場でコアファンと深く付き合う。

同じ発信を全員に投げず、熱量の段階に合わせて場所を選び分けるわけです。

熱量を上げる仕掛けもあります。一つは「旗」。発信者が掲げる共通の合言葉で、これがあるとファンは何を応援すればいいかが明確になり、横のつながりも生まれる。もう一つが「褒めティティ」。買ってくれた人の行動を名指しで褒め、感謝を返す。ファンとしての自覚を育てる工夫です。

この章で最も効くのが「失敗をストーリーにする」という発想です。完璧な姿だけを見せる必要はない。挑戦して失敗する過程も全部見せて、自分の物語にしてしまう。著者自身、不本意な方向のグラビアDVDを出したとき、それを隠さず「1年前は嫌なこともやっていたけど、たった1年で成長できた」と語った。するとファンは減るどころか、共感した女性ファンが増えた。新機能IGTVをいち早く試して失敗したときも、原因と改善策をすぐnoteに書いたら記事がバズり、英訳されてInstagram社にまで届いたといいます。失敗は、改善策とセットで出せば「価値ある情報」に化ける。最初から巻き込む前提で発信すると決めておけば、つまずきさえ前進の材料になる、という構えです。

データを差し出して、自分から仕事を掴みにいく

第4章は、ソーシャルパワーをお金に変える段階。前提は、仕事は与えられるものではなく自分で掴みにいくものだということ。

掴み方は、依頼する側の目線に立つことです。企業は予算と効果を見積もりたい。だからフォロワーの年齢層や性別といった属性データ、過去に紹介して何件の反応や売上が出たかという実績データを、こちらからレポートにして渡す。

PR案件は「1フォロワー1円」と相場で語られることもありますが、企業が本当に見ているのは数そのものより、属性の偏り(親和性)と直近の推移だと著者は指摘します。

受け方にも哲学がある。指定どおりにやらない、という流儀です。アイライナーのPRで「顔の横に商品を持って」と指定されたとき、使う様子を動画で見せたほうがいいと逆提案し、投稿の最後を疑問形にしてフォロワーの声も拾った。

結果、反応が良く新規にも届いた。そして案件を選ぶ覚悟。「この案件はタダでも受けたいか?」と問えるだけの信念を持つ。お金のために主観を曲げれば、フォロワーは「お金の匂い」を嗅ぎ取り、信用が落ちる。

信用が落ちれば影響力も落ち、結局は仕事も来なくなる。

この章で示される発信サイクルが「DCPA」です。普通のPDCAは計画から入りますが、SNSは秒の世界。計画にこだわる前に、まず発信(Do)し、反応を確認(Check)し、改善策を立て(Plan)、即実行(Action)する。

「最初に発信した人が勝つ」を信じ、新機能が出たら誰より早く試す。完璧さより速さ、という割り切りです。

インフルエンサーの最終形は「プロデューサー」

第5章は本書の到達点。PR案件に振り回されず大きく動くなら、ファンと一緒に自分の商品をゼロから創るプロデューサーになるべきだ、と説きます。

手法が「共創マーケティング」。完成させてから売るのではなく、制作過程からファンに相談して一緒に作る。すると発売前から熱狂的な応援者が育つ。著者のスキンケアブランド「youange」は開発に2年以上と3000万円をかけ、その過程をフォロワーと共有したところ、発売の約1年前に公式アカウントが2万人を超え、発売直後には約3万人が殺到して品切れが続いたといいます。

販売の場が「ライブコマース」。生配信しながら売る。著者の時間設計は、場をあたためる10分、解説して売る40分、買ってくれた人に感謝を伝える10分。

リアルタイムで質問に答え、「生配信中しか買えない」特典で“いま見る理由”も作る。効果は数字に出ています。生配信なしの初回は1時間で170個。

2週間後に生配信で売ると25分で500個。今では5分で3300個が完売するそうです。同じ商品でも、売り方ひとつでここまで変わる。

最後に、今日から踏み出せる3つを挙げておきます。第一に、自分の夢に「何で?」を3回ぶつけ、理由と想いを一文にする。第二に、プロフィールの1行目を「自分が何者で、フォローするとどんな得があるか」に書き直し、アイコンを顔のわかる写真に変える。

第三に、次に失敗したら原因と改善策をセットにして当日中に出す。

数を追っている間は、2万人いても3人しか動きません。見るべきは数ではなく、自分が誰の、どんな熱量を生んでいるか。完璧な投稿を待つうちに機会は過ぎていく。失敗ごと出してしまえばいい。あなたの次の一投稿は、誰の心を動かすでしょうか。


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『THIS IS MARKETING』セス・ゴーディン 「成長しそうな最小の市場」を狙うという原則は、ゆうこすさんが説く「ターゲットを絞るほど刺さる」と同じ方向を向いています。万人ではなく特定の誰かに尖る理由を、理論側から補強してくれます。

『プロセスエコノミー』尾原和啓 完成品ではなく作る過程に価値が宿るという主張は、本書の「失敗もストーリーにする」「ファンと共創する」と重なります。なぜ過程を見せると応援されるのか、その仕組みを知りたい人へ。

『“未”顧客理解』芹澤連 ファンの熱量を語る本書に対し、こちらは「まだ買っていない人」をどう理解するかを扱います。コアファンと未顧客、両側から見ることでマーケティングの視野が一気に広がります。


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